インタビュー 宮健一

夢ではなく現実、未来に対する危機感
「声優」になることは圧倒的にシビアな現実だった

その時の学院内オーディションで無事に上級クラスへと昇格し、在学中に声優プロダクション『アズリードカンパニー』に所属
その後ほどなくして オーディションで他事務所の声優との競争に競り勝ち『遊戯王5D’sのドラガン』役として鮮烈なデビューを飾った宮健一は、今年で活動四年目を迎える。

しかし、声優の仕事をやってるときのほうが危機感があると彼は言う。
仕事をもらえなかったら食べられないし、いくら声優を名乗ろうとも声優として仕事が出来ないのでは意味がない。

「ほかの人が活躍するのを眺めているのは、やはり悔しい。」

と正直な言葉をこぼす彼に、この世界の厳しさを痛感させられる

宮は今後やってみたいこととして

「ロボットに乗りたい! 必殺技が叫びたい!」

と息巻いた。特に人気ゲーム「スーパーロボット対戦」シリーズへの思いはひとしおである。

そんな思いを胸に、活動を続ける上で出会った仕事は、人気声優 平川大輔氏を中心に各事務所の新人声優でアイドルグループを作ってみようと言う『シャカリキック』だった。

ニコニコ生放送という媒体で「顔出し」には抵抗を感じていた宮だった。それに主な番組内容は女性に向けての甘いセリフをささやくといったもの。

『シャカリキック』は宮に憧れと現実の差を色濃く見せ付けた。
やりたいのはこんな事ではないし、仕事と割り切りやったことも

『いや違う。』『そんなんじゃときめかない。』

とダメ出しの嵐
「どうすれば女性が喜ぶのか」がどうしても理解できず、番組降板を担当マネージャーに相談するなどギブアップ寸前まで追い込まれた。
思い切り悩んだ一年、番組終了間際になり、ようやく何かをおぼろげに掴んだと言う。

その後、新たに『ボイスギャンブラー』と言う番組を通して、周りの若い声優を見て「そうじゃないんだな~」と今だからこそ分かるようになった。
番組のイベントでカフェを貸しきってファンとの交流会の機会を設けることができ、そこで得られた声優・宮健一への応援の言葉。
この時、『声優』はどう見られているものなのかと宮は実感することが出来た。

作品ありきで見てくれるファンの方は多いが、中にはまるでアイドルを見る様な目で見てくれる方々もいたのだ。

「僕、たんなるおっさんですよ(苦笑)」

そうは言いつつも、応援してくれる人がいる、憧れを抱いてくれているひとがいるからにはそれに答えなければいけない。
もっと自分を磨いて行かないと。深夜のラーメンは控えないと(笑)
そう決意する宮はますます声優としての自分を高めていくのだろう。

「やはり現実では体験できない冒険や、出会いがしてみたいんでしょうね。」

宮の人生はまさに冒険やモンスターに挑むプレイヤーのようだと思えた。
まさか、声優と言う職業がゲームだなどと言うつもりは無い。
現実はゲームの中と違って救済も無かったり、自らの進む道が決まっていなかったりする。
でも『こんなもんじゃない、こんなもんじゃない!』と挑戦して行く宮健一の生き様こそ、どんなに高い壁が現れようと諦めず、絶望を突きつけられようと果敢に挑む姿。それがまるで熱いハートを持つ勇者(プレイヤー)の姿のようだと感じたのだ。
あのまま札幌でくすぶり続けていたら今の姿は無いのだから。

「楽してうまくなった訳じゃない。ここにたどり着くまでの時間は決して無駄ではなかったが、遠回りをしてしまった感じはあります。」

「皆には声優を具体的な職業だと考えてほしい。技術職ではあるけれど、その職業につくために日々努力を怠らないという事が大切です。」

「せっかく最初の一歩を踏み出たのに、養成所に入ったことで満足してしまっては夢が夢のままで終わってしまう。
その夢を現実にするためにどうしなければいけないのか。『努力』『頑張る』『一生懸命』口で言うのは簡単だけど、実際にはとても難しいことだと分かっていますが、普通の人では出来ない『芸能』の世界に入ったからには、行動を起こしたからには、ぜひ諦めず心を強く持って、常に常に前へ進みつづけてほしい」

「声優に興味がある人、これから声優を目指そうと思っている人がこの文章を読んで、少しでもプラスのエネルギーになってくれれば嬉しいです」

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