アフレコの概要ややり方について
アフレコとはアフターレコーディングの略語で、声優に洋画やアニメ作品などのセリフを演じてもらって、それを収録することです。声優だけでなく、俳優やアイドルなどが演じる場合もあります。
いずれにしても収録は専用スタジオでおこなわれます。
スタジオには、マイクがあるのはもちろん、大きなスクリーンもあります。キャストが演じるためには、作品の映像が必要不可欠だからです。目の前のスクリーンで登場人物が動いている様子を実際に見ながら、キャストはその人物になりきってセリフを読みます。
そのためたとえば戦闘シーンでは緊迫感のある演技を、ラブシーンでは色っぽい演技をすることができるのです。
洋画の吹き替えの場合は既に作品が完成している状態なので、シーンや登場人物の動きに合わせて演技をしやすいのですが、毎週放送しているアニメでは、なかなかそうもいきません。
アニメ作品は作画に非常に時間がかかり、アフレコの予定日までに完成していないことが多いからです。
とはいえそのような場合でもアフレコをしないわけにはいきませんから、キャストは色がついていなかったり動きが少なかったりする状態の映像を見て、想像力を働かせながら演じることになります。
いずれにしても何らかの形での映像は必ず存在しており、役者はそれを見て演技をします。
つまり収録は映像の制作の後でおこなわれるので、そのためアフターレコーディングという名がついているのです。
アフレコでは、役者は口のみを使ってセリフを読んでいるようなイメージがありますが、実は体のほかの部分も多く使っています。たとえば登場人物が食事をしているシーンのセリフでは、食べ物をほおばっているような雰囲気を出すために、指を口に入れてセリフを読んだりします。登場人物が風邪をひいているシーンでは、鼻をつまむことで鼻声を出したりもします。
よりリアリティ溢れる演技にするために、様々なやり方がおこなわれるのです。リアリティを出そうとするあまりに登場人物に感情移入しすぎて、登場人物と一緒に泣いてしまったり笑いが止まらなくなったりする役者もいます。また台本にないセリフでも、ついアドリブで言ってしまう役者もいます。
登場人物になりきることで、その人物ならばこのシーンではこのようなことを言うはずだというセリフが、口から自然に出てきてしまうのです。そしてそれが、作品をより奥深いものにします。このようにアフレコをおこなう役者には、演技力だけでなく様々な工夫、感性の豊かさが必要とされるのです。